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IT基盤・基幹システムをクラウド化するメリット・デメリット
2021.07.27
営業支援クラウドサービスVenus Cloud顧客管理 近年では企業のIT基盤や基幹システムのクラウド移行が進んでいます。
特に、2018年に日本政府がいわゆるクラウド・バイ・デフォルト方針(正式名称:「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」)を策定して以降、政府だけではなく民間企業のクラウド化も加速しています。
それでは、自社のIT基盤や基幹システムのクラウド化はどのように進めればよいのでしょうか。
この記事では、企業のIT基盤・基幹システムのクラウド化の進め方について解説します。IT基盤・基幹システムをクラウド化するメリット・デメリット
やみくもにシステムをクラウド化しても効果は得られません。IT基盤・基幹システムをクラウド化する前に、そのメリットとデメリットについて整理したうえで、クラウド移行の妥当性を判断する必要があります。
クラウド化のメリット
クラウド化のメリットは、大きく以下の3点です。
- 自社サーバの削減による固定資産の圧縮
- 保守運用の作業負荷低減
- コストミニマムでのシステム導入
一般的に、自社サーバやソフトウェアは固定資産として管理し、減価償却する必要があります。固定資産として計上することにより、固定資産税の発生や自己資本比率の悪化など、デメリットが多く発生します。一方で、クラウドサービスは基本的に経費扱いとなるため、各年度で発生したコストをそのまま損金計上できます。このような会計上のメリットがクラウドには存在します。
また、自社サーバを管理する上では、定期的なセキュリティパッチあてやソフトウェアのバージョンアップが必須となります。一方でクラウドサービスを利用すれば、各種アップデートはすべてサービス側で実施してもらうことができます。これにより、保守運用要員として抱えていた人材を他の配置に割り当てることが可能となります。
さらに、買い切りのサーバは一般的にスペックを上下させることは難しいですが、クラウドサービスであればその時々の利用状況に応じてスペックを任意に変更することができます。従来であればシステム導入時には余裕を持ったスペックのサーバを導入することが一般的でしたが、クラウドサービスでは必要最小限のリソースからサービスの導入を開始することができ、コストの削減につながります。
クラウド化のデメリット
一方で、クラウド化にはデメリットも存在します。具体的には以下の2つです。
- カスタマイズの余地が少ない・ない
- コストが永続的に発生する
特にSaaSと呼ばれるようなクラウドサービスでは、アプリケーションレベルまで完成されており、利用者側のカスタマイズの余地が少ないことが一般的です。既存のシステムと全く同等の機能やインターフェースを求めることは難しいでしょう。クラウドサービスが必要な機能を備えていない場合は、業務の変更や運用による対応を行う必要があります。
また、クラウドサービスは買い切り型のサーバーやソフトウェアと違い、利用する限り費用が発生し続けます。永続的に利用することが確定しているシステムについては、自前でそろえたほうがコストメリットが生まれるケースもあります。
IT基盤・基幹システムをクラウド化する流れ
クラウド化のメリット・デメリットを精査したうえで、IT基盤・基幹システムをクラウド化することを決定した場合、どのような流れでクラウド化を実施すればよいのでしょうか。以下では、IT基盤・基幹システムをクラウド化する際の流れについて説明します。
クラウド化する対象を精査する
まず初めに、自社システムのうちどこまでをクラウド化するかを検討します。
自社の業務のうち、特に定型的な業務についてはクラウド化に向いています。顧客管理・案件管理・スケジュール管理・請求入金管理などの一般的な業務は、対応するクラウドサービスが豊富に存在するためクラウド化の検討もしやすいといえます。
また、IT基盤システムのうち、マイクロソフトのOffice365に代表されるようなオフィスツールについては比較的クラウド化しやすい対象といえます。手始めにクラウド化を検討する対象としては適しているでしょう。
自社システムをクラウド化することにリスクを感じる場合は、システム停止による損害リスクが少ないような、社内向けツールなどから検討を始めるという選択肢があります。クラウドのメリット・デメリットを実地で把握した上で、クラウド化の範囲を拡大していく戦略もありえます。
クラウドサービスの選定を行う
クラウド化の範囲を検討したら、導入するクラウドサービスの選定を行います。クラウドサービスの選定の上での最大のポイントは、信頼できる事業者を選択することです。
クラウドサービスを利用する際には、会社の機密情報をクラウドサービス提供事業者へ預けることになります。信頼できない事業者へデータを提供することは、情報漏洩のリスクにつながります。また、クラウドサービスは比較的サービス終了が起こりやすいです。財務的に安定している会社や、導入実績が豊富な会社を選択することで、サービス終了リスクを低減させることができます。
クラウドサービスの提供事業者の信頼性を確認したら、Fit&Gapを実施します。Fit&Gapとは、自社の要求仕様とクラウドサービスの提供機能を比較し、自社の要求をクラウドサービスがどの程度満たしているかを把握する手法です。クラウドサービスの候補が複数ある場合には、Excel表などで要求仕様と各社の機能を並べ、一致率を確認すると横並びで比較しやすいです。
クラウドサービスが導入に足ると判断したら、最後に費用対効果の確認を行います。どんなに優れたシステムであっても、コストが導入メリットを上回ってしまっては意味がありません。クラウドサービスは利用料という形ですべての料金を支払うため、保守費用など様々な費用が発生する従来型のシステムと比較して費用対効果を確認しやすいという特徴があります。システムの導入前に、必ず費用対効果を確認することをおすすめします。
システムの移行を行う
導入するクラウドサービスを選定したら、システムの移行を実施します。現行システムが存在する場合は、データ移行を実施するかを検討します。データ移行はハイリスクな作業となるので、業務に与える影響が大きくない限りは、できるだけデータ移行を行わないように設計するとよいでしょう。
クラウドサービスは、従来型のシステムと比較してソフトウェアのインストールが不要など、システム移行にかかる負荷は少ないです。とはいえ、システムの移行にはトラブルがつきものであるため、新旧システムの並行稼働期間を設けるなど移行トラブル発生時にも対応できる体制を整えましょう。
まとめ
この記事では、IT基盤・基幹システムのクラウド化を進めるために、クラウドサービスのメリット・デメリットおよびクラウド化の流れについて解説しました。今後もクラウド化の流れは加速していき、将来的には多くの業務用システムがクラウド化されていく見通しです。システムの保守切れなど、タイミングを計ってクラウド化を検討することをおすすめします。